あれは、高校2年の初夏だった。
俺は大阪の高校に通っていた。
中学の時から女の子に興味はあったけど、特に付き合ったり
とかは無く野郎どおしの遊びで満足していた。

俺は今から考えると、どうしようもなく背伸びをしていたと思う。
キスはした事ないのに「もう済ませた」とか、
童貞なのに「逆ナンされてやっちゃった」とか、
風俗言った事ないのに「飛田新地で15分7000円でヤラセテもらった」とか
まぁ今考えると恥ずかしいがバイト先のレストランの遊んでる先輩の話を
受け売りに自分の体験のごとく話して、連れの股間を大きくさせていた。

その時はアウトローなキャラが自分の理想像であり、演じていたキャラなの
である。そんな背伸び野郎の俺の話。

高校の体育祭は6月の中旬にやっていて、別に熱くなるわけでもなく
出場種目には淡々とこなし、校庭の隅っこでやたら盛り上がっているグループを

「馬鹿じゃねーの?」

と偉そうに座って馬鹿にしていた事を覚えている。
体育祭は勝ったのかな?記憶はあいまいだが勝ったんだろう。
祝勝会というなの打ち上げに誘われたからだ。
何故か活発なヤツ達が多くいる別のクラスのヤツに誘われた。

Y子 「K(俺)くん、打ち上げおいでよ。」
俺  「いいよ、いかねーよ。」

Y子は同学年イチの活発な女の子であり、ブサイクだけど、愛されキャラだった。


今でさえ、酒の飲めない子は多いが俺はその時から飲めないのを自覚していた
から酒が飲めないという理由をかくして断った。背伸びしていたなぁ。
飲めない事がカッコ悪いとも思っていたのも理由だろう。
何とか「ノリがいい」とかいう事がいい事というのを壊したかったんだろう。
興味ねぇ。空気あわねぇし、Y子はブサイクだし。
その時ひょこっと横に現れたのがチーである。

チー 「なんで来ないのぉ~」
俺  「!!!」

チーは今で言うロリ顔で、めちゃめちゃかわいい子だった。
掘北マキさんにちょっと似てる。
その時のファッション雑誌の地域特集で何回か載ったのも知っている。
高校1年の時、別のクラスから廊下に出てきた時にチラッと見たときから
俺はやられていた。一目惚れだった。
学年イチ男前のAと付き合っていたはずである。

チー 「おいでよ、ウチのクラスとKくんのクラスが勝ったんだからさ。」
俺  「あーそうだよねー。(やべぇ初めてしゃべる…)」
チー 「あんまKくんのクラスと交流も少ないし、誘ってきてよ。」
俺  「マジで!」
チー 「うん、マジで」
俺  「誘わないといけないの?(俺目的じゃないよな、そうだよな…)」
Y子 「来るんかい!さっきは行かねぇとか言ってたのに!」
俺  「いや、『いけないの』ってのは誘わないと駄目なのって意味で。」
Y子 「ややこしい事いうなぁw」
チー 「ホントw」
俺  「そうかなぁ。ハハ… (Y子邪魔すんなよ!)」

こん時は既にドキドキ、ホレてる子と喋って笑いとってるなんて有頂天だった。
よく考えれば笑いとってるんじゃなくて、雑談なんだけど。
心の中では、行くのは決めたんだけど喋りたいから、長引かせる。


俺  「誰呼んで欲しいの?」
チー 「仲いい子でいいよ。Mくんとか仲いいでしょ。」
俺  「うん。いつも一緒にいるな。」
チー 「それとSくんとか、適当に」
俺  「いっぱいで盛り上がりたいのな。」
チー 「そうそう。」

既に視線と体の方向はY子関係ねぇ、チーしか向いてねぇ俺。
この時は携帯電話も持ってるヤツは持ってたんだけど、大体がポケベル。
「連絡先と称してベル番聞けるかな」とか考えてた。